東京かわら版代表井上さん演芸コラム16「江戸落語と上方落語の違い」
コラムcolumn

今月は江戸落語と上方落語の違いについて触れたいと思います。 言葉が江戸言葉、上方言葉と違うのはもちろんですが、上方落語では「膝隠し」「見台(けんだい)」「小拍子」を使用し、大きな音を出したりしてお客様の目を引きます。なぜスタイルが異なるか。 それは落語の成り立ちが、江戸落語は小屋やお座敷などの室内で始まったこと、上方落語は路上・屋外の語りが始まりだったことに起因します。 江戸落語は静かな室内が元だったために落ち着いてじっくりと語る。上方落語は騒がしい屋外が元だったため派手に賑やかに語る。上方落語には「はめもの」といって噺の途中に鳴り物が入ることもよくあります。一般的に江戸は人情噺が本場で職人や侍の話が多い、上方は華やかな滑稽噺が本場で商人が出てくる噺が多いともいわれています。 また同じ内容でも演目の名前が替わる噺もございます。江戸の「時そば」、上方の「時うどん」などです。江戸の「酢豆腐」、上方の「ちりとてちん」も似たような噺です。 今は東京にいても上方落語が出演する会も多いので、ぜひ上方落語にも触れていただいて、大いに笑ってみてください。
「東京かわら版」月島三丁目14-5西仲通り相田書店他で発売中
ネットショップ「東京かわら版のお店」
WRITER
井上 健司TAKESHI INOUE
コラム「演芸コラム」担当。月島3丁目に本社がある日本で唯一の演芸雑誌「東京かわら版」の二代目発行人。いろいろな視点で演芸を紹介している。おかげでつくつき読者の演芸ファンが急増して、山遊亭金太郎の襲名披露公演では多くの読者が参加した。