東京かわら版Vol.9:真打
コラムcolumn
「真打」これは日常会話でもよく聞く単語ですね。 「いよいよ本日の真打の登場です!」などよく耳にします。東京の落語界において最高位を表す真打になると、寄席でトリを取る(番組の最後に出演する)ことができます。この「トリ」も「お待たせしました、本日のトリを務めますのは佐久間編集長!」みたいに使用しますね。真打もトリも落語界から発生した言葉なのです。
話を戻しましょう。真打に昇進すると「〇〇師匠」と呼ばれるようになり、弟子を取ることができるようになります。二ツ目までの噺家さんは「〇〇師匠」と呼びません。噺家さんのことを身分も知らずに気軽に「〇〇師匠!」と呼ぶのは誤りなのでお気をつけください。
真打の語源としては、昔の寄席の高座には照明用として蝋燭が立っていて、寄席興行が終わると最後の出演者が蝋燭の芯を打つ(切って消すこと)ことをしたために「芯打ち」といわれ、真打になったというのが一般的です。
因みにトリの語源は、寄席で最後に出演する真打が収入を全部取り、出演者たちに分けていたため、その「取る」ということからトリになったという説が有力です。
「東京かわら版」発行人 井上健司
WRITER
井上 健司KENJI INOUE
コラム「演芸コラム」担当。月島3丁目に本社がある日本で唯一の演芸雑誌「東京かわら版」の二代目発行人。いろいろな視点で演芸を紹介している。おかげでつくつき読者の演芸ファンが急増して、山遊亭金太郎の襲名披露公演では多くの読者が参加した。