月島三丁目「東京かわら版」⑧代表井上さん演芸コラム 落語界の身分
コラムcolumn
東京の落語界には身分制度がございます。見習い・前座・二ツ目(ふたつめ)・真打です。噺家さんが良くマクラで言うのは、真打の後はご臨終…。冗談はともかく、まず噺家になるには真打の弟子にならなければいけません。弟子入りが許されると「見習い」と言って、師匠の身の回りのお世話をする期間があります。この時期はまだ芸名がなく、本名で活動します。
一定期間働き、師匠に認められたら晴れて「前座」になり、芸名がつきます。前座の一番の仕事は寄席の楽屋働きです。公演の前に楽屋に入り、掃除や準備をします。太鼓をたたいたり、師匠方へお茶を出したり、電話応対をしたり…。毎日この仕事を繰り返し、約4年程で「二ツ目」に昇進します。多くの噺家さんが真打昇進よりも、この二ツ目昇進が嬉しいと言っています。
二ツ目になると師匠の家や楽屋での仕事から解放されます。着物も羽織を着ることができるようになります。ただし毎日楽屋に行かなくてもいい代わりに自分で仕事を見つけて、自分で稽古を続けなければいけないため、ここで怠けると実力の差が開いてしまいます。
二ツ目を約10年つとめるといよいよ「真打」…続きは次号で
「東京かわら版」発行人 井上健司