東京かわら版Vol.3:真打昇進披露興行
コラムcolumn
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寄席ごとの特徴・魅力を紹介いたします。
上野にある鈴本演芸場は現存する寄席の中でも最も古い歴史を持つ寄席で、各駅からのアクセスも抜群です。浅草演芸ホールは華やかな外観・にぎやかな雰囲気がワクワク感を醸し出してくれます。新宿末廣亭は歴史的な建物が印象的で、まるでタイムスリップしたような感覚に陥ります。池袋演芸場はほかの寄席と違いマイクを使用しないので、演者さんの肉声を楽しむことができます。
もうすぐくま八改メ山遊亭金太郎師匠の真打昇進披露興行が各寄席で開催されます。ここで少し披露興行についてお話ししたいと思います。
披露興行では新真打の門出を幹部や人気者が勢ぞろいし、皆で賑々しく祝います。中でも仲入り(休憩)後に行われる「口上」は見ものです。新真打の師匠をはじめ、幹部や先輩方が全員黒紋付に袴姿で口上を述べてくれるのです。肝心の主役の新真打は一言も喋らずに、正座をして両手を前の床につき、客席をまっすぐ見た姿勢をずーっと保っています。口上の最後には3本締めをするのが吉例となっております。
皆様も是非このおめでたい披露興行に足を運んでみてください。
「東京かわら版」発行人 井上健司
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WRITER
井上 健司KENJI INOUE
コラム「演芸コラム」担当。月島3丁目に本社がある日本で唯一の演芸雑誌「東京かわら版」の二代目発行人。いろいろな視点で演芸を紹介している。おかげでつくつき読者の演芸ファンが急増して、山遊亭金太郎の襲名披露公演では多くの読者が参加した。