開催レポート 2026.07.08

2026年6月23日協働ステーション中央 十思カフェに編集長が登壇

イベントevent

2026年6月23日協働ステーション中央 十思カフェに編集長が登壇
十思カフェ vol.175 活動レポート: “また関わりたい”が生まれるヒント 〜『つくつき新聞』に聞く、人と活動のつなぎ方〜

つくつき新聞に連載している「つくつき家族」の作者本園大介さんも人と活動でつながった仲間です。当日のグラフィックレコーディングをお願いいたしました。
 
1. はじめに:イベントの概要と本日のテーマ
2026年6月23日、地域活動の新たな可能性を探る「十思カフェ vol.175」で佃月島新聞 制作委員会の佐久間保人編集長が登壇しました。今回のテーマは、コミュニティ運営において最も重要かつ困難な問いである「人と活動のつなぎ方」です。
【イベント概要】
  • 日時: 2026年6月23日
  • イベント名: 十思カフェ vol.175
  • ゲスト: 佐久間 保人(佃月島新聞 制作委員会発行人編集長)
  • テーマ: “また関わりたい”が生まれるヒント 〜『つくつき新聞』に聞く、人と活動のつなぎ方〜
SNSでの「いいね」で繋がったつもりになる現代。しかし、私たちが本当に求めているのは、肌感覚を伴う「継続的な関わり」ではないでしょうか。今や地域のハブとして多方面で活躍する編集長ですが、実はその原点は意外なものでした。かつての編集長は、ウェブサイトや動画といったデジタルメディアを消費する一読者に過ぎず、地域には知り合いが一人もいなかったのです。
一人の「フォロワー」だった編集長が、いかにして地域を動かす「リーダー」へと変容したのか。その秘密は、10年前に踏み出した静かな一歩に隠されていました。
2. 活動の原点:知り合いゼロから始まった「最初の一歩」
編集長の歩みは、完璧な計画に基づいたものではありませんでした。10年前の編集長は、地域との接点が全くない「知り合いゼロ」の状態。そこから、地域情報の「消費者」から「当事者」へと、段階的に変化を遂げていきました。
大きな転機となったのは、中央区の「協働ステーション」を訪れたことです。創刊したばかりの佃月島新聞の前身『天空新聞』の活動や関連する紹介を中央区の各関連者に進めていきました。まずはボランティアとして手を動かすことから始め、少しずつ活動の輪を広げていったのです。
佐久間氏の10年間の変遷(2016年〜2026年)
項目
10年前(2016年頃)
現在(2026年)
地域での繋がり
ゼロ(知り合いが一人もいない)
たくさんの友達に囲まれている
メディアとの関わり
視聴者・読者(HPや動画を見る側)
佃月島新聞の運営、天空新聞の活動
主な活動内容
情報を探している段階
記事執筆、校正、地域講座の講師、祭りの手伝い
『天空新聞』という入り口から始まった編集長の冒険は、自身の変化を加速させるだけでなく、次第に他者を巻き込み、地域住民の想いを可視化する「新聞」という形へと昇華されていきました。
3. つくつき新聞の役割:地域住民の想いを引き出す「受け皿」
編集長が中心となって進める『つくつき新聞』は、単なる情報の伝達手段ではありません。それは、住民の心にある「何かしたい」というポジティブなエネルギーを循環させる、巨大な「受け皿」として機能しています。
新聞という「物理的な媒体」があることで、地域には以下のような**「主体的エネルギー」**の循環が生まれています。
  • 「地域のことを話したい」:まちの記憶や魅力を誰かに共有したい。
  • 「自分の言葉で伝えたい・書きたい」:特定のトピックを深掘りし、発信したい。
  • 「何かを手伝いたい」:配布や校正など、自分にできることで貢献したい。
特に印象的なのは、制作チームに根付く**「すぐ行動する!やってみる!」という軽やかなカルチャーです。このスピード感が、新聞制作の枠を超えて「お祭りへの誘い」や「講座の依頼」といったリアルな連携を生み出しています。すべての活動の根底にあるのは「地元の人に喜んでほしい」**という温かな願い。その純粋な動機が、地域にポジティブな連鎖をもたらしているのです。
この活発な関わりを維持し、さらに多くの人を惹きつけるためには、単なる熱意だけでなく、運営上の「洗練された知恵」が必要となります。
4. 小さなメディア運営の知恵:読者と作り手の境界線を溶かす
地域メディアを長く、そして楽しく継続させるために、編集長は読者が自然と制作側に回ってしまうような「緩やかな仕組み」を大切にしています。
読者が作り手へと変容する「循環サイクル」
  1. 記事を読む:地域の歴史や楽しさを共有し、ファンになる。
  2. 校正に携わる:チェックを通じて内容に深く関わり、内部の空気感を知る。
  3. 企画・執筆へ:自分の「もっと知りたい」という好奇心を原動力に、制作の主役へ。
また、情報発信におけるデジタルとアナログの使い分けも、専門家としての鋭い視点が光ります。
デジタル(DX)と紙メディアの役割分担
メディア
特徴
活用のエッセンス
SNS・HP(デジタル)
拡散力・即時性に優れる
効率的な周知やDX推進のために積極的に活用
新聞(紙メディア)
「流れず残る」
ストック性・アーカイブ性が高く、まちの歴史を継承する
「SNSのようにタイムラインに流れて消えない」という紙の価値を、あえてデジタル時代に再定義する。この**「流れず残る」**というキーワードこそ、まちのアイデンティティを守るための重要な視点です。しかし、テクニカルな工夫のさらに先には、人を惹きつけてやまない「コミュニティデザインの核心」がありました。
5. “関わりたくなる”デザイン:完璧を目指さない「余白」の力
本レポートにおいて、最も深く心に留めておきたい教訓が、**「助けたくなる新聞へ」**という逆説的なコンセプトです。
私たちはつい、非の打ち所がない完璧な組織や、プロ顔負けの完璧なメディアを目指してしまいがちです。しかし、コミュニティデザインの専門家としての視点で見れば、完璧さは時に「参加の壁」となります。編集長は、あえて**「余白(弱み)」を見せること**の重要性を強調します。
  • 「完璧」は人を遠ざけ、「余白」は人を招く 組織が完成されすぎていると、周囲は「自分がいなくても大丈夫だ」と感じてしまいます。あえて隙を作ることで、「手伝いたい」「自分が支えなきゃ」という周囲の主体性が芽生えます。
  • 「助けたい」という本能に火をつける 弱みをさらけ出すことは、勇気がいることです。しかし、その「弱み」こそが、住民が入り込むための「入り口」となり、応援のエネルギーを最大化させるのです。
この「余白のデザイン」こそが、人々の「また関わりたい」という感情を呼び起こす、最もパワフルな磁力となっているのです。
6. 総括:一歩踏み出し、余白を楽しむコミュニティづくり
「知り合いゼロ」の一読者から、地域のハブへと成長を遂げた編集長の10年間。それは、自らが一歩踏み出す勇気と、あえて完璧を目指さずに他者が活躍できる「余白」を守り続けたプロセスでもありました。
自分のまちを知り、楽しみ、困ったときには素直に周囲に頼る。そんな軽やかで人間味のあるスタンスが、これからの地域コミュニティをより豊かにしていくはずです。
【明日からのアクション:3つのポイント】
  • [ ] まずは「窓口」を叩く: 協働ステーションなどの支援組織を訪ね、自分に合うボランティアから始めてみる。
  • [ ] 「残したいもの」を見極める: すべてをデジタルに流さず、あえて「紙」として残すべき地域の価値を再発見する。
  • [ ] あえて弱みを見せる: 活動の中で「完璧」を目指すのをやめ、周囲が「助けたくなる」ような余白を作ってみる。
地域活動への扉は、いつもあなたのすぐそばにあります。「自分のまちをもっと知りたい」という純粋な好奇心から、最初の一歩を踏み出してみませんか?そこには、10年後のあなたを笑顔にする、温かな繋がりが待っています。

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