No.118 めまいの一つであるメニエール病
暮らすlife
めまいの一つであるメニエール病について。
ゴッホの絵画の中には渦巻きがたくさん描かれている作品がある。実はゴッホはメニエール病(以下メ病)だったのではないかという説がある。メ病は繰り返し発生する内耳性めまいの代表で、回転性めまいが特徴だ。ゴッホの渦巻きはこの苦しみを表したものなのではないかというのである。
メニエール病は内耳における内リンパ水腫(リンパ液の水膨れ状態)であり、ストレスが関与していると考えられている。現在、内リンパ水腫の原因としてストレス以外にも遺伝、感染、自律神経障害、内分泌障害、自己免疫等の関与が考えられている。
メ病はめまいを繰り返すだけではなく、耳鳴りや難聴などの症状も共に悪化する治癒の難しい疾患であるが、最近では治療の進歩も著しい。
治療では内服薬がメインとなるがこれは昔から使用され、血流を改善したり代謝を改善することで内耳の障害を改善させるものです。
また2018年から中耳加圧療法が保険で認められるようになった。病院から貸し出された医療機器を使い、患者自身が自宅で簡単にできる治療法である。以前から行われてきた薬物治療ではめまい発作が収まらない場合に用いられる。
中耳加圧療法は体を傷つけない治療で、これにより外科的治療を施す症例が減少した。90%以上の事例で「軽度改善」以上の治療効果が得られ、難治性メ病のめまいに対して有効だ。
メ病は聴力が変動している間は平衡機能改善につながる前庭リハビリができないため、中耳加圧療法が治療法に加わったことは臨床上価値が高い。メ病でお悩みの方々には以上の二つの進歩が福音となるかもしれない。